マンションやビルの「資産価値を守る」うえで欠かせない工事の一つが「外壁工事」です。しかし、「どのような工事を行うのかわからない」「どれくらいの周期で工事を依頼したらいいの?」といった疑問を抱く方も、少なくないのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、「外壁工事を実施する目的」や「外壁工事の種類」について解説すると共に、「塗装工事で押さえておきたいポイント」や「自分でカンタンにできる劣化状況の確認方法」などについて解説いたします。
外装工事を実施する目的とは?
そもそも、外壁工事を実施する目的については、ご存知でしょうか。主な目的としては、「『資産価値』と『美観』を守る」という2点が挙げられます。
建物の「資産価値」を守る
外壁に塗料を塗ってコーティングすることで、雨風や紫外線から建物を守ります。塗料が塗られていないと、雨漏りしたりひび割れしたりします。そういったダメージを放置していると、建物の基礎がもろくなり「家そのものの資産価値が下落」していきます。
安心して居住できるよう点検を実施すると共に、状況や状態に応じて10年~15年周期での外壁工事を行いましょう。
建物の「美観」を守る
外壁は1日中、外気にさらされているため、ホコリや排気ガス、換気扇から出てくる煙などによって汚れていきます。そういった汚れを放置していると、見た目が悪くなるばかりか、マンションの場合は入居者、オフィスビルの場合はテナントの「満足度の低下」につながりかねません。
入居者やテナントの中長期的な利用を期待するならば、美観にも細心の注意を払うようにしましょう。
外壁工事の種類と特徴
続きまして「外壁工事の種類および特徴」についてご紹介します。外壁工事には、大きく分けて「塗装工事」「張り替え工事」「重ね張り工事」の3つの工事があります。
塗装工事
「塗装工事」とは、元からある既存の外壁に新しい塗料を上塗りする工事のことをいいます。外壁工事においては、最もスタンダードな工事です。外壁は、24時間365日、雨風や紫外線にさらされているため、どんなに耐久性の高い塗料を塗っていたとしても必ず劣化します。
そのため、10年~15年周期で、塗装をほどこしてコーティングする必要があります。建物を長持ちさせたり、雨漏りを防いだりするために、必ず行っておきたい工事といえるでしょう。
概算費用
一般的なマンション(5階建て36戸)の場合の相場
2000万円~2500万円/(下地補修・足場共)
一般的なビル(9階建て)の場合の相場
9階建て一部 カーテンウォール 1500万~2200万円(下地補修・足場 共)
張り替え工事
「張り替え工事」は、元々ある外壁材をすべて取り外して、新しい外壁材に張り替える工事のことをいいます。既存の外壁材の解体・撤去・新設といったプロセスが発生するため、単純な「塗装工事」よりも割高になりますが、建物が30年以上経過している場合は「張り替え工事」を実施した方がよいケースも出てきます。塗装工事だけでは、家を保護することがむずかしい場合があるからです。張り替え工事を実施すべきか否かの判断は、塗装事業者による現場調査に委ねましょう。
そのほか、建物をイメージチェンジしたい場合に、張り替え工事を実施するケースもあります。「外壁の印象がだいぶ古くなってきた…。外から見た時の印象を良くして、テナントを増やそう!」といった考えがある場合には「張り替え工事」を検討しましょう。
概算費用
サイディング張り ㎡/6,000円
カーテンウォール ㎡/25,000円
重ね張り工事
「重ね張り工事」とは、既存の外壁を残したまま新しい外壁を上から重ねて張りつける工事のことをいいます。既存の外壁の撤去作業が発生しないので、張り替え工事よりはリーズナブルになります。当然のことながら、外壁の重量が増しますが、遮熱性や遮音性などが向上する点が大きなメリットといえます。
概算費用
サイディング張り ㎡/8,000円~12,000円
カーテンウォール仕様パネル材 ㎡/25,000円
現在の外壁の材質や状態によっては「張り替え工事」および「重ね張り工事」は実施できない場合があります。塗装事業者に確認のうえ、実施する工事内容をしっかりと検討しましょう。
塗装工事際は「塗装回数」と「塗料の色」に注意しよう!
先ほど3種類の外壁工事をご紹介しましたが、ここからは最もスタンダードな「塗装工事」について解説いたします。
まず押さえておきたいのが、塗装工事は「3回塗り」が基本になっているということです。以下の基本プロセスを押さえておきましょう。
塗装工事のプロセス
- 下塗り(シーラー)
- 中塗り
- 上塗り(仕上げ)
1.下塗り
「下塗り」では「下地強化剤」と呼ばれる塗料を塗ります。「外壁の耐久性」を高めたり、「中塗り・上塗り」で用いられる塗料の密着力を高めたりするのが下塗りの目的です。
2.中塗り
「中塗り」は、塗料の厚みと強度をUPさせるために行うプロセスです。基本的には、上塗りで用いる塗料と同じシリーズの塗料を用います。
3.上塗り
「上塗り」は最後に行う仕上げの塗装です。「建物の美観」を左右する最終工程なので、職人の技量が如実に現れるプロセスといえます。
基本プロセスを押さえたうえで、塗装工事の「押さえておきたいポイント」を1点お伝えしたいと思います!それは「塗装回数が極端に少なくないか」という点です!
工程を読んで頂いた通りに「下塗り」「中塗り」「上塗り」にはそれぞれ大事な役割があります。
塗装工事のお見積りを確認する際にはしっかりとこのあたりも確認しましょう。
極端に安い場合は、1回しか塗らない可能性が高いです。
安さだけでなく必要な工程が無くなっていないかご自分で判断できるようにしておきましょう。
簡単チェック!自分でできるマンション・ビルの点検方法
外壁工事を実施するべき周期は「10年~15年」が一般的ですが、建物の立地条件(日射条件・雨が多い地域・海沿いなどの複合的要素)によっては、もっと早いタイミングで外壁塗装を実施する必要があるケースもあります。
理想的には「1年ごとの定期点検」を塗装事業者に依頼して「プロの判断をあおぐ」のがベストですが、自分でもカンタンに劣化状況をチェックできる方法を知っておくのも大切です。事業者まかせではなく「マンションやビルの劣化状況を、自分でもしっかり判断できるようになる」からです。この機会に、基本的なチェック方法を押さえておきましょう!
外壁の汚れ
「外壁の汚れ」は、排気ガス・ホコリ・コケ・カビ・雨だれなどによって引き起こされます。汚れた外壁はマンション・ビルのイメージダウン、外壁内部の劣化につながる可能性があるため、入居者やテナントの中長期的な利用を望むならば、速やかに清掃を依頼するようにしましょう。「サビや変色」などが散見される場合は、塗装工事が必要です。
外壁の塗り替えニーズレベル】
★★☆☆☆~★★★☆☆
チョーキング
「チョーキング」とは、外壁に塗られている塗料が劣化して起こる現象です。塗料に含まれている顔料が粉化して表面に出てくるので、指でなぞってみればすぐに「劣化しているか否か」判断できます。チョーキング現象が起こる場合、外壁の塗り替えを行う必要があるといえますが、他の部分の劣化状況もチェックして総合判断するのがベストです。
外壁の塗り替えニーズレベル
★★★☆☆
シーリングのひび割れや剥がれ
「シーリング(コーキング)」とは、サイディングやモルタルなどの外壁材のすき間を埋めるゴム状の素材のことをいいます。最初は弾力があるシーリングも、経年劣化にともなってやせてきたり、ひび割れしてきたりします。それを放置すると、雨水が室内に浸水してしまう恐れがあります。シーリングを触って劣化具合をチェックしてみましょう。
外壁の塗り替えニーズレベル
★★★☆☆
タイルのひび割れ
「タイルのひび割れ」は「クラック」とも呼ばれるもので、外壁の経年劣化に伴って出てくる現象のことをいいます。小さなひび割れ(ヘアクラック)であれば、経過観察で問題ない場合がありますが、大きなクラックに発展する場合があります。大きなクラックに雨水などが浸水すると、内部が腐食して外壁が破損する場合があるので、常日頃から目視でチェックするようにしましょう。気になるクラックがあればプロに検査を依頼しましょう。
外壁の塗り替えニーズレベル
★★★☆☆~★★★★☆
タイルの浮き・剥離
「タイルの浮き・剥離」とは、外壁のタイルが浮いたり剥がれたりする現象のことをいいます。この現象を放置しておくと、最終的にはタイルが落下して事故につながる恐れがあります、事故を未然に防止するためにも日頃からタイルの状況について目視でチェックし浮きや気になる箇所がある場合は、速やかに調査、補修の手配をしましょう。
外壁の塗り替えニーズレベル
★★★★☆~★★★★★
屋上の塗料の剥がれ・ひび割れ
屋上においては「塗料の剥がれ・ひび割れ」がないかチェックしましょう。こうした現象がみられる場合、雨漏りしてしまったり、カビが生えたりして、建物そのものに重大なダメージを与える場合があります。放置していると、改築工事の必要性に迫られる場合もありますので、注意が必要です。屋上は雨水や紫外線をダイレクトに受ける場所ですので、日頃から自分で目視チェックを心がけましょう。
外壁の塗り替えニーズレベル
★★★★☆~★★★★★
鉄部の腐食
「鉄部の腐食」とは、建物の金属部分がサビつく現象のことをいいます。鉄部の腐食は、大きく美観を損ねるだけではなく、穴があいたり破断したりする恐れがあります。高所の場合は、劣化した鉄部が落下してくる危険性がありますし、手すりなどであれば、ケガを招くリスクもあります。とりわけ、海岸近くの建物の場合は、鉄部の腐食が進行しやすいので、日頃から目視でチェックしましょう。
外壁の塗り替えニーズレベル】
★★★☆☆~★★★★★
外壁塗装のプロは劣化診断をどう行うのか?
外壁塗装の劣化状況をチェックする際には、「打診棒」という道具で見えない箇所の不具合を音でチェックしたり、クラックスケールでひび割れの深さを測定したり、外壁を触ったりして行います。
年に1回はプロによる定期点検を行うのが理想です。
いかがでしたでしょうか。外壁工事において押さえておくべきポイントや、建物の劣化状況を自分でチェックする簡単な方法などについて、ご理解いただけたのではないかと思います。
本コラムでご紹介したように、自分自身でマンションやビルの劣化状況を常日頃から把握しておくことは大切ですが、年に1回は、プロの外壁工事業者に点検してもらいましょう。外壁の劣化状況を正確にとらえるには、専門的な検査が必要だからです。
NGKでは、劣化があったからといってすぐに塗装工事に促すようなことはいたしません。様子見でよい場合はその旨をお伝えし、適切な修繕タイミングをご案内いたします。「セカンドオピニオン」として当社に調査をご依頼いただくのも大歓迎です。外壁塗装に精通したプロが丁寧に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
外壁塗装会社・NGKとは?
NGKは2000年の創業以来、20年近くもの長きに渡って「長期耐久・最高品質」をモットーに、外壁塗装工事を行っている工事会社です。
きめ細やかな現場調査・丁寧な施工・中立的なアドバイス・管理会社を通さない納得の適正価格を期待するオーナー様は、当社までお問い合わせください。オーナー様の期待に応える自信があります。